企業経営
望むものを見つける旅(6)
ある村に、仙人様といわれるとっても頭のいいおじいさんが住んでいました。
とても気品があって尊敬されていて、なんでもわかり、なんでもできるおじいさん。
その村に神童とよばれる少年があらわれた。この少年があるとき聞くのです。
「お前も頭がいいけれども、あの仙人様にはかなわない」
といわれたので、少年は何とかして仙人様をやっつけたいと思うわけで、いろいろ考えあぐねているときに、森を歩いていると、小鳥のヒナがバサッと落ちてきた。まだ毛がはえていない。
それを見て少年は考えた。小さな子どもたちを集めて、
「おーい、みんな集まれ。俺は仙人様のところへこれを持っていって、やっつけるぞ」といったから、
「どうやってやっつけるの?」
「あのな、このヒナを持っていって、こういうふうに手で握って、
仙人様、仙人様、僕の手の中に小鳥のヒナがいます。生きていると思いますか、死んでいると思いますか」
「もし、死んでいるっていったら」
「生きていました」
「もし生きているっていったら」
「あのな、よく見ろ、俺の親指、この親指で手を開く前にきゅーっと締めて、すぐに死ぬから。
そして、死んでいました」
「頭いいなあ、お前、頭いい」
これじゃ、仙人様もかなわない、ということで、小さなこどもたちは仙人様のいる丘に登っていった。
仙人様は、子どもたちが登ってくるのを見つめながら、ニコニコニコニコ本当に温かいまなざしで見ているわけだ。
さあ、仙人様の前に立って、例のようにやりました。
「仙人様、仙人様、僕の手の中に小鳥がいます。生きていると思いますか、死んでいると思いますか」
と、こういうふうに得意そうに身体を弓なりにしていった。
そうしたら、仙人様は答えない。
もう1回聞いた。
そうしたら仙人様は、その少年の瞳をじっと見つめてね、
「少年よ、その答えは君の手が握っている」
こういったそうです。
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